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住宅譲渡所得の損益通算 税法の遡及適用は「合憲」

2008年11月10日(月)13:15

土地や建物の譲渡所得の損益通算を廃止した租税特別措置法(改正措置法)の遡及適用が憲法に違反しているかどうかをめぐり争われていた裁判で、福岡高裁はこのほど、「違憲無効」とする一審判決を取消し、納税者の請求を棄却しました。
この争いは、マンションの売却によって生じた損失について、売却後に施行された改正措置法を遡って適用し、所得からの控除を認めなかったのは違法だとして、福岡市の女性が税務当局の処分取消しを求めたものです。

平成16年度税制改正では、土地市場の活性化の観点から、土地建物の長期譲渡所得について税率引下げと他の所得との損益通算廃止がセットで措置されました。それまでは、個人が土地や建物を売却して損失が出ても他の所得から控除できたため、たとえば他の所得が3千万円あっても、土地建物の譲渡損がそれ以上あれば課税所得はゼロでした。ところが、損益通算の廃止によってこの計算が成り立たなくなったのです。
納税者にとってはただでさえ不利な改正ですが、重大な問題は他にもありました。

「損益通算廃止案」は、前年12月の税制改正大綱公表間際になって急浮上、しかも、同16年4月1日施行にもかかわらず、「平成16年1月1日以降の譲渡から適用」とされたため、損出しなどの対応可能期間は大綱の公表からわずか2週間足らずだったのです。大綱レベルの情報をもとに行動に出た納税者はごくわずかで、ほとんどが損益通算廃止の情報を知らないまま、バブルで塩漬けになった土地を抱える羽目になりました。

一審の福岡地裁では、損益通算を廃止した改正措置法を、施行時期より前に行われた住宅譲渡に適用することが憲法に違反するとして今年1月、岸和田羊一裁判長は「違憲無効」として納税者に軍配を上げました。
今回の福岡高裁の判決では、納税者に不利な遡及適用であっても違憲にならない「合理性」の有無を判断する5つの基準を総合勘案し、土地建物の長期譲渡所得の損益通算を廃止する改正措置法をその成立前である同16年1月1日以後の土地建物の譲渡から適用することには合理性があり、違憲とはいえないとし、原判決を取り消して納税者の請求を棄却しました。

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