法人税: 2008年7月アーカイブ

今年4月から「売買扱い」とされることになった「所有権移転外ファイナンス・リース取引」ですが、この税務取り扱いをめぐり、一部で混乱が起きています。

所有権移転外リース取引の場合、リース期間定額法により償却し、損金計上していくことになります。しかし、法人税法施行令では、「リース期間が耐用年数に比して相当短いものは、移転外リース取引には該当しない」とされ、この「相当短いもの」については、「リース期間がリース資産の耐用年数の100分の70に相当する年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を切捨てる)」(法人税法基本通達)とされています。

そのため、この通達にいう「耐用年数の100分の70に相当する」が、「耐用年数の70%に相当する」という意味なのかどうかで、その税務処理が大きく変わってしまいます。

たとえば、「耐用年数5年、リース期間3年」のケースを考えてみると、耐用年数5年に100分の70、つまり0.7を乗じれば3.5年となります。さらに、通達に従って端数を切捨てると3年。つまり、リース期間3年以上であれば所有権移転外リース取引に該当し、そのリース期間内で全額損金計上されると考えられます。

もう一つは、この100分の70という数字は、耐用年数の70%相当のリース期間を求めているものだとする考え方です。この場合、上のケースでは「リース期間3年/耐用年数5年=0.6」となり、耐用年数に対して60%にしかなりません。そうなると、移転外リース取引には該当せず、通常の減価償却資産と同様に耐用年数に応じて損金計上されるとも考られるわけです。

これについて国税庁では、「1年未満の端数を切捨てることで、このケースをとれば3年になる。この場合は、3年以上のリース期間であれば移転外リース取引に該当し、リース期間に応じて定額法で損金計上できる」としています。こうしたことから、リース期間3年、耐用年数5年といったケースでは、3年間で全額が損金処理されると考えてよさそうです。

4月1日より、所有権移転外ファイナンス・リースが売買取引とみなされることになりました。所有権移転外ファイナンス・リースという聞きなれない言葉ですが、新しく誕生した言葉ではありません。以前からリース会計では所有権移転ファイナンス・リースと所有権移転外ファイナンス・リースは区分されていました。
ちなみにファイナンス・リースとは、リース期間内での解約ができず、リース物件価額の大半を借り手が賃借料として支払うタイプのごく普通のリースのことです。

この2つのファイナンス・リースの違いを簡単に言うと、リース期間満了(または中途)時に、借り手が無償、または格安で所有権を獲得できるかどうかです。 具体的には、(1).リース契約書に無償や格安で借り手に所有権を譲渡する項目が記載されていたり、(2).借り手しか利用できないような特別仕様の設備 等の場合、(3).リース期間が設備等の耐用年数より相当短い(70%相当)場合-などは所有権移転ファイナンス・リースということになり、それ以外のファイナンス・リースは所有権移転外ファイナンス・リースとなります。

では、所有権移転ファイナンス・リースと所有権移転外ファイナンス・リースについて、税務上の扱いはどう違うのかというと以下の通りです。

■所有権移転ファイナンス・リース
◎取得時 :売買処理として資産計上
◎減価償却:一般の設備等と同様に減価償却
◎償却期間:設備等の耐用年数
◎消費税 :取得事業年度に消費税の課税仕入として一括仕入控除
■所有権移転外ファイナンス・リース
◎取得時 :売買処理として資産計上(原則※)
◎減価償却:リース期間定額法で減価償却(原則※)
◎償却期間:リース期間
◎消費税 :取得事業年度に消費税の課税仕入として一括仕入控除
※中小企業や少額物件の場合は、賃借料で処理することも認められる。

大きな違いは減価償却における償却方法だけ。つまり、毎年の償却額と償却期間が異なるだけということになります。

ただ、この償却期間と償却額の差が節税上で大きな意味を持つことがありますので、リース締結時は違いをしっかり認識しておいた方が良いかもしれません。
特に、リース期間が設備等の耐用年数より短いリースを組むときなどは、そのリース期間により償却額(=損金算入額)がかなり違ってくることもありますので、ご注意ください。