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AGAの治療費は医療費控除できるか
2010年6月 7日(月)14:01
最近では「AGA」(Androgenetic Alopecia)と呼ばれている男性型脱毛症。発症の原因は、遺伝と生活習慣によるところが大きいといわれています。しかし、近年、脱毛に直接作用する「飲み薬」が誕生し、AGAで悩む人の間で脚光を浴びているそうです。
代表的なものが「フィナステリド(商品名=プロペシア)」という薬で、医師の処方によってAGAの治療に用いられています。1日1回1錠の服用で、効果のほどには個人差があるものの、通常3カ月~半年で変化があるそうです。
フィナステリドは1錠250円程度ですが、保険適用対象外の薬。医師の治療で保険が適用されない薬が用いられた場合、医療費の全体が保険対象外になってしまいます。したがって、保険適用の医療費に比べAGA治療費はかなり高額になります。「せめて医療費控除でなんとかならないのか」と思ってしまうところです。
医療費控除の対象となる「医療費」にはさまざまなものがありますが、普通は「医師による診療または治療の対価や、治療・療養に必要な医薬品の購入の対価」を指します。
医療機関で受ける治療なのだから、医療費控除はOKだろうと思いがちですが、医師の治療ならなんでも医療費控除の対象になるわけではありません。
所得税基本通達73-4「健康診断及び美容整形手術のための費用」には、「いわゆる人間ドックその他の健康診断のための費用及び容姿を美化し、又は容ぼうを変えるなどのための費用は、医療費に該当しないことに留意する」とあります。
これに照らして考えれば、一般的にはAGAの費用を医療費控除とすることはできないと考えられます。
ただ、精神的な理由やほかの病気の影響などから脱毛に至りAGA治療を受けることになったという場合であれば、医療費控除を適用できる可能性はあります。ひとくちにAGAといっても、個々の実態が重要なため「AGA治療」というだけで医療費控除が不可能と判断するのは難しいところです。
板橋区の税理士 佐藤税務会計事務所
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コメント
清原達也:
佐藤先生
ご教授お願い致します。
脱毛は、誰でも精神的な理由によりAGA治療を
すると思います。
医療費控除を適用する場合、どの様な方法で
当該「精神的な理由」を証明したら良いのでしょうか?
宜しくお願い致します。
日時:2014年1月 8日 17:30
コメント
税理士 佐藤:
清原様
ご質問の件について私見を述べさせていただくと、
例えば、ですが、
うつ病の治療のため心療内科に通院したところ、医師から当該うつ病はAGAであることによる心理的ストレスが起因となって発症したものであり、うつ病の克服のためにはAGAの治療を行うことが必要不可欠であるとの指導を受け、この指導に基づきAGAの治療をし、かつ、この指導を行ったことについての医師からの証明となる書面の交付を受けることができた。
このようなケースであればAGAの治療に関して医療費控除を受けられる可能性はあるのではないかと考えます。
逆に言えば、AGAの治療費を精神的な理由によって医療費控除を行うのであれば、AGAであることが精神的な疾患の直接の原因であることを明らかにすることができないのであれば、医療費控除の適用は難しそうです。
いずれにせよ、税務署で事前に確認を取られるのがよろしいでしょう。
日時:2014年1月 9日 11:44