法人税: 2011年3月アーカイブ

会社経営に法的トラブルは付きものです。訴訟社会に突入した昨今ではトラブルの対処の仕方一つで命取りにもなりかねないため、中小企業の間でも弁護士との顧問契約を検討する動きが目立ってきました。また、特許権などの重要性が広く認知され、これによるビジネス展開も増える中で、こうした知的財産権などの侵害に対する一種の“防衛費用”として弁護士とのパートナー契約を検討するケースも多いようです。

ところで、弁護士に対して支払った費用については、その具体的な内容によって税務上の取り扱いが微妙に異なるので注意が必要です。
例えば、月々の顧問料については、期間の経過に応じて損金に算入します。顧問料は特定のサービスを受けるために支払った対価なので、1年分まとめて支払っても短期前払費用の特例を適用することはできません。
また、訴訟の着手金となると取り扱いが違ってきます。例えば特許権侵害による損害賠償請求をするために契約した弁護士に対する訴訟の着手金については、支出日の属する事業年度で損金に算入します。着手金は訴訟の勝ち負けにかかわらず支払われるものであり、一種の「防衛費用」という性格も持ち合わせているためです。

そして、訴訟に勝った場合に支払う成功報酬金については①債務が成立している、②給付すべき原因となる事実が発生している、③金額を具体的に算定できる――という3つの要件を満たす日の属する事業年度の損金の額に算定することになります。なお、成功報酬に限らず、一定の事実が支払要件となるものはすべてこの要件を満たす日の属する事業年度での損金となるので覚えておきたいものです。

板橋区の税理士 佐藤税務会計事務所

企業活動を行う上で発生する、貸付金や売掛金といった債権は、相手方の破綻などに伴い回収に支障を来す危険性があります。そのため、あらかじめ「貸倒引当金」として損金を計上することができます。
一方、金融機関に預け入れられた預金は、返還請求権が認められた寄託債権に該当し、貸倒引当金を計上したり、預金の元本に対して貸倒損失を計上することは想定されていません(法人税基本通達11-2-18)。

ところで、平成17年のペイオフ解禁によって、金融機関が破綻した場合、決済用預金以外の預金は元本のうち1千万円以下の金額のみを保護の範囲とするよう改正が行われました。これにより、1千万円を超える預金は金融機関の財産の状況に応じて弁済が行われるとともに、その一部については切り捨てられる可能性が出てきました。つまり、1千万円を超える部分については「貸し倒れる」可能性が生じたわけですが、この場合の貸倒引当金の扱いについて、特段の見解は示されていませんでした。

しかし、このほど公開された文書回答事例により、金融機関が破綻し民事再生法において再生手続開始の申し立てが行われた場合は、保護対象となっていない部分の50%に相当する金額に達するまでの金額を、貸倒引当金として再生手続き開始の申し立てがあった日の属する事業年度の損金の額に算入することができると整理されました。
民事再生法における再生手続開始の申し立てが行われた場合には、個別評価金銭債権はその50%に相当する金額を必要経費に算入することができるとされており(法人税法施行令96条1項3号ロ)、これに準じるのが相当であるとされたためです。

参考:金融機関が破綻した場合における預金保険制度による保護の対象外の預金に係る所得税及び法人税の取扱いについて

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